世界的に大きな海難事故でありながら、未だ多く残された謎やその規模感から100年以上経つ現在も研究がされているタイタニック号。また映画化作品が世界的大ヒットを起こしたことから、今も海底に沈む豪華客船にロマンチックな感情を抱いた熱狂的ファンも多く居ます。
そんなタイタニック号についてもちろん大勢の人が知っているはずですが、その詳細については実はそこまで詳しくないのではないでしょうか。いつ、なぜ沈んでしまったのか、どれだけの人が命を落としたのか、そのような疑問を抱えている人はきっと少なくないでしょう。
そこで今回は、タイタニック号の沈んだ場所や現在の様子、また引き揚げられない理由について調査していきます。
タイタニック号の沈んだ場所と水深
タイタニック号は1912年4月15日、カナダの東海岸に位置するニューファランド島の沖合に沈みました。
アメリカニューヨークを目指しイギリス・サウサンプトン港を出発した本船でしたが、途中に寄港したアイルランドのクイーンズタウンを出発後、氷山に衝突したことが原因により沈没しました。氷山に衝突したのは4月14日の23時40分、そして事故発生から2時間40分が経った4月15日の2時20分に沈んでいます。
沈んだ本船の位置を特定したのは沈没から73年後の1985年9月1日、水深約3800mの海底で発見されました。
タイタニック号の現在
タイタニック号は今も深い海底で、当時の姿のまま眠っています。長い時間沈んでいるため大部分が錆びており、様々な物質が纏わりついていたりはしますが、当時の光景を想像できるくらいには船としての姿形が保たれています。
沈んだ本船を発見したのはロバート・バラードというアメリカの海洋地質学者が中心の探索チームです。アメリカとイギリスの合同遠征隊が、無人潜水艇アルゴを使用して本船の姿を捕らえました。
発見前は、本船は力強く海底に打ち付けられて備品や窓ガラス全てが粉砕しているであろうと予想されていました。しかし実際は備品や窓ガラス、手すりはそのままの形で、またコップやお皿といった小物が沈没前と同じ場所に見つかっています。このことから船首は打ち付けられたのではなく、先端から滑り込むように着地していたと調査が改められました。
タイタニック号を引き上げない理由
タイタニック号が発見されているにもかかわらず引き挙げられない理由は、船が崩壊してしまう恐れがあるためです。長い年月を海中で眠っている本船はかなり腐食が進んでおり、実際は見た目以上に脆い状態となっています。そこに無理やり手を加え、3800mの距離を引き揚げるとなると途中で船が崩壊してしまうでしょう。
2019年、探索チームが捉えた映像を見た海洋環境学者のクレア・フィッツシモンズによると、タイタニック号は2030年頃には完全に消滅してしまうであろうと予測しています。船に付着したバクテリアが鉄を食って新たに生み出した錆はとても脆く、やがて細かい破片となり、最後には粉となって海に流されていくんだそうです。実際、ファンの中では人気のあった光景のひとつである船長室が、2019年の調査時にはデッキハウスごと崩壊しています。近いうちに船ごと消え去ってしまうという可能性を、証明させてしまう出来事ですよね。
タイタニック号の生存者はいる?
タイタニック号に乗船していたのは、乗客1320人、組合員892人の計2212人でした。事故後に生き残った生存者はその3分の1にも満たない710人です。当時女性と子供を優先に救命ボートに移っていたという証言の通り、やはり生存者の多くが女性と幼い子供に割合が集まっています。
生存者の1人には、日本人も存在します。タイタニック号唯一の日本人乗客である細野正文(ほその まさぶみ)です。定員45名分の女性と子供を乗せた救命ボート10号が海面に卸されているところを発見した細野正文。彼が居た場所よりも1、2ヤードほど低い位置で一時停止していたボートはよく見るとまだ3名程は乗せられる余裕があり、傍に居た1人の船員はその場からボートに飛び移りました。それを見た細野正文は、自身もボート目掛けて飛び降り船から脱出できたと本人が当時の雑誌で語っています。
まとめ
この記事ではタイタニック号に関する気になる情報をご紹介していきました。
20世紀初頭、約1500人を乗せたまま海底3.8㎞の深さに沈んでいった豪華客船は今も海深くで眠っています。当時の技術としてはかなり高レベルな安全対策が施されていた本船は、実は設計当時は『不沈船』と呼ばれるほど、安全だと信じられていました。それにもかかわらず処女航海で沈没、現在では海底で粉となり消滅するまでのカウントダウンが始まっています。
土曜プレミアムでは、6月24日と7月1日の2週にかけて映画『タイタニック』が放送されます。長年愛される不屈の名作、放送を楽しみにしていましょう。